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「雪国のメカニズム!」

「雪国のメカニズム!」

2024年1月1日に起きた能登半島での震災で、いまだ苦労されている方々の、一刻も早い、復旧、復興につながればと深く思います。今回はその石川県も含む北陸地方の豪雪地帯を題材に授業等で解説している内容の紹介です。随筆調で少しお話を挟みます。

私の出身は福島県南相馬市です。東日本大震災の被災地です。母親と祖母がおり、震災にあいました。すぐには故郷に行けず、電話での声援が精いっぱいでした。塾で当時中3生の授業中、生徒がみな真剣なまなざしで「震災で困っている人たちに何か僕らにできることはないか?」などの質問攻めにあいました。TVも震災のことばかりで、こどもたちもじっとしていられなかったのだと思います。「役に立ちたいと思うなら、今は勉強すること。たくさんの知識を得て、その知識や自分の思いを、将来のため、日本のために使うことだ。」と話したことを思い出しました。子どもたちは、深く頷いて、必死になって勉強するようになりました。「ゆとり教育」渦中の子どもたちでしたが、今の若者も捨てたものではないなと感慨にふけった記憶がよぎりました。あれから14年経とうとしておりますが、今回の震災で親元離れ一時避難している学生たちもいろんな思いを胸に、勉強に励んでいるのだろうと思うと、心中察するに余りあり。

本題に入ります。「雪国のメカニズム」と題した内容ですが、「雪国」と言いますと、ノーベル文学賞を受賞された川端康成の「雪国」を思い浮かべると思います。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」の冒頭ではじまる新潟県湯沢温泉を舞台に繰り広げられる小説ですが、本当に長いトンネル(清水トンネル)を抜けると一面銀世界になるらしいです。世界有数の豪雪地帯である北陸地方になぜ雪が降るのかを、社会科として説明するための知識を、記述問題対策としてスライドにしました。

スライドの目的は、社会用語や重要語句である点の知識を他の知識と関連させて、線の知識として定着させるためのものです。覚えている知識をビジュアル化する(見える化)することで、定着度をはかり、主体的な学習の一助になればと作成しているものです。

今回の内容は、覚える知識を3点に絞り、それをつなげて説明(記述)できるようにしました。★①暖流の対馬海流★②北西の季節風★③山地・山脈の壁の説明をつなげて、線の知識にしたやり方です。

★①対馬海流は日本海流(黒潮)から枝分かれした暖流なので、冬場は特に湯気=水蒸気が発生します。水蒸気はゆっくり上空へ昇ります。

★②冬場は世界で一番寒い地域のシベリア上空にあるシベリア気団はマイナス50度くらいと言われています。そこから冬の季節風が日本海へ吹いてきます。すると対馬海流から発生した水蒸気は、その冷えた季節風にさらされるため、一気に冷え込んで結晶になります。その結晶が雪です。

★③その雪を含んだ季節風が、北陸地方に横たわる、越後山脈などの山地・山脈の壁にぶつかり、雪はもともと水のため、お互いにくっつきあい、重くなって地上に降りてくる仕組みです。

北陸地方は日本海側の気候になるため冬に降水量が多い地域です。「シベリア気団・結晶」は理科要素です。「雪国」は国語要素となるため、社会要素ばかりではなくジャンルを超えた、いわゆる線の知識につながります。要素が多ければ多いほど、定着度が上がりますので、その覚え方の効果に期待が持てます。指導した生徒も「雪国のメカニズム」と言えば覚える3点が言えるようになりました。この「点の知識を線の知識に」のシリーズはまだほかにもありますので、興味がある方は、お知らせください。