
受験を終えたある生徒が、「特に緊張しなかった」「自分が解ける問題は全部解けたと思う」と、明るい表情で話してくれたことが、今でも強く印象に残っています。
「ここまで頑張ったから大丈夫」「自信を持って行ってらっしゃい」と、関わった講師やスタッフと共に送り出したものの、本番で本当に力を出し切れるだろうかという不安は拭いきれませんでした。
しかし、その笑顔を見て、この子は自分と向き合い、今の自分を信じて受験に臨むことができたのだと感じ、これまでの努力と成長を見守れた喜びを実感しました。
これまで、受験本番に力を発揮した生徒の保護者様から、多くのことを学ばせていただきました。今回はその中でも、特に大切だと感じた関わり方をご紹介します。
受験本番は、いつもと違う環境、限られた時間、「この日にすべてがかかっている」という大きな緊張感に包まれます。
緊張の中で力を発揮するために理想的なのは、特別な状態になることではなく、「普段通りでいられること」です。その土台をつくるのが、受験直前の保護者様の姿勢でした。
・大切なのは、不安を「取り除く」のではなく「整える」
受験前日は、準備や確認で気持ちが落ち着かなくなりがちです。1週間ほど前から持ち物を一緒に確認し、「何が不安か」「何が気になっているか」を言葉にして整理していきましょう。
このとき、「そんな心配しなくていい」と否定するのではなく、「それが気になっているんだね」と受け止めることが重要です。前日の夜は、体を温め、早めに休めるよう整え、「明日はやるだけ」という気持ちで眠りにつけるよう支えてあげてください。
・自信は「与えるもの」ではなく、「思い出させるもの」
本番直前の声かけは、この一年でできるようになったこと、苦しい時期をどう乗り越えてきたかなど、事実に基づいた承認が効果的です。
それは、本人の中にすでにある力を再確認させる関わりです。「ここまでやってきた」という感覚を持って試験会場に向かうことが、集中力につながります。
・最後は、信じて任せる
不安な気持ちには寄り添いながらも、「どう向き合うか」は本人に委ねます。
「あなたらしく行っておいで」「どんな結果でも、頑張ってきた事実は変わらない」
その一言が、子どもにとって大きな安心になります。
受験は合否だけで終わるものではありません。
挑戦し、自分を信じようとした経験は、これからの人生の大きな力になります。
保護者の皆様の「信じて見守る在り方」そのものが、子どもを支える最高のコーチングなのです。


