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総合型選抜の合格から考える、これからの備え

総合型選抜の合格から考える、これからの備え

10月も半ばを迎え、総合型選抜の合格発表が各大学でスタートしています。早い生徒ではすでに進路が決まり、保護者や学校現場にも喜びの声が届き始めています。高校生の進路選択が多様化する中で、総合型選抜は単なる知識量ではなく、課題発見・解決力、コミュニケーション力、主体性、探究心など、大学での学びに必要な資質を評価することにあります。特に探究活動や地域活動、部活動などの経験が重視される傾向があり、年々注目度を増しています。

 

文部科学省によると、令和6年度(2024年度)時点で総合型選抜による入学者は全体の約16.2%を占めており、学校推薦型選抜(35.5%)と合わせると、一般選抜以外の入学者が過半数を超える状況となり、その割合は増加傾向です。2025年度も募集枠の拡大や志願者数の増加が見込まれており、2026年度には共通テスト併用型の導入が進むなど、制度の定着と高度化がさらに進むと予想されています。

 

■総合型選抜の試験形式

総合型選抜には、大学の特色や評価方針に応じて多様な形式があります。

 

・「資格・検定重視型」:英検やTOEFL、数検などのスコアが出願条件や評価材料となり、語学力や数理的思考力を客観的に示す手段として活用されます。

・「小論文・課題提出型」:社会課題や学部の専門テーマに対する論述を通じて、思考力や表現力を評価する形式です。

・「面接・口頭試問型」:志望理由や学問への関心を深掘りする対話が中心となり、人物像や学びへの意欲が問われます。

・「プレゼンテーション型」:探究活動や課題研究の成果を発表し、自らの学びを論理的に伝える力が求められます。

・「ポートフォリオ型」:高校生活全体の活動記録を提出し、学びの履歴を総合的に評価する形式です。

・「学部独自課題型」、「リーダーシップ・社会貢献型」:専門的な課題への取り組みや地域活動・起業経験などが評価対象となります。

 

■総合型選抜を志すうえでの心構えと準備

選抜方式が多様化している今、その準備は一朝一夕にはいきません。志望理由書や面接のために急ごしらえの対策をするのではなく、高1・2の段階からコツコツと積み重ねていくことが重要です。そのために、次の3つの視点での準備が求められます。

 

1)自分の興味関心を深める

探究活動や課外活動を通じて、「自分は何に関心があるのか」「どんな問いを持っているのか」を掘り下げていくことが大切です。興味のあるテーマに継続的に取り組むことで、大学での学びにつながる土台が育まれます。

 

2)志望理由を明確にする

「なぜその大学・学部で学びたいのか」「将来どのように社会に関わりたいのか」といった展望を、自分の経験や関心と結びつけて言語化する力が求められます。大学の教育内容や研究テーマを調べながら、自分との接点を見つけていきましょう。

 

3)表現力を磨く

面接やプレゼンテーションでは、自分の考えを論理的かつ魅力的に伝える力が必要です。日常の中で「なぜそう考えたのか」「どう伝えれば伝わるか」を意識しながら、言葉にする練習を重ねていくことが効果的です。

 

日ごろから探究活動や部活動、地域活動など、どんな場面でも「なぜそれに取り組んだのか」「何を考えたのか」を言語化する習慣を持つことや、記録と振り返りを高1・2の頃から意識して整理しておくことで、受験期に慌てずに準備ができます。

「大学で何を学びたいか」を考える時間を持つこと。進路選択はゴールではなく、学びのスタートです。大学の学びに接続する視点を持つことで、総合型選抜は単なる入試ではなく、未来への設計図になるはずです。だからこそ、日々の学びや活動を丁寧に振り返りながら、自分の問いを育て、言葉にしていく準備を少しずつ始めていきましょう。