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大学受験の『人物評価+学力型入試』増加のメリット・デメリット

大学受験の『人物評価+学力型入試』増加のメリット・デメリット

最近、「年内入試」という言葉を耳にする機会が増えてきました。「推薦入試や総合型選抜のことでしょう?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。実はこの「年内入試」、従来の推薦型・総合型選抜とは少し違う形も出現してきているのです。

現在、私立大学入学者の約6割が、「年内入試」による合格者です。2025年度入試では、一部大学が2月1日以前に学力検査を実施し問題視されていました。これらを受け、協議の結果、文部科学省は、2025年6月、2026・2027年度の入試要項を公表し、『2月以前に行う個別学力検査については、小論文や面接など、異なる評価方法を組み合わせて実施可能』としました。

これにより、大学は推薦型選抜の中でも学力試験を含む独自方式を設計できるようになり、『人物評価+学力型入試』で、「早期に優秀な学生を確保しよう」という動きが、私立大学を中心に加速しているようです。

この変化を受検生はどのように捉え、どのように対策をしていけば良いのでしょうか。メリットとデメリット、この変化に向けた対策を深掘りしていきます。

◆『人物評価+学力型入試』のメリット

推薦型でありながら学力試験もあることで、選択肢は増えます。「評定や活動実績だけでは不安」という場合でも、学力でアピールすることが可能になります。また、併願可能な方式が増えているため、複数大学への挑戦がしやすくなっている、年内入試で不合格だった場合も一般選抜への切り替えがスムーズで、受験準備の連続性も保たれる点も利点です。

◆『人物評価+学力型入試』のデメリット

一方で、デメリットも見逃せません。一番には、スケジュールが非常にタイトなことです。多くの大学では、入試要項の公開が7月中旬〜8月上旬に集中し、出願は9月初旬〜10月中旬、試験は10月〜11月、合格発表は11月末〜12月初旬に行われます。つまり、夏休み中に出願に必要な情報が出され、すぐに志望理由書や活動報告書を作成し、面接や学力試験対策も並行して進めなければなりません。この短期間で「評定・活動実績・志望理由・学力」のすべてを整えるには、計画性と情報収集力が必要です。

◆これからの備え

受験生にとって、2学期は「進路決定の最終調整期間」です。近年は「推薦型でも学力試験を課す方式」が増えており、選択肢が広がっていることについては、前向きに捉えていきたいです。しかし、広がった選択肢をすべて追いかけるのは現実的ではありません。まずは情報収集が最重要です。志望大学の入試要項は7月〜8月にかけて公開されるため、今の時期にしっかり確認し、試験内容・評価方法・出願条件などを把握しておくことが不可欠です。そのうえで、自分の強みや準備状況に合った方式を見極め、戦略的に絞り込むことが、年内入試を活用する鍵となります。

非受験生は来年度・再来年度の制度変化を見据え、「自分の強みは何か」「どのような活動が評価されるか」を意識しながら学校生活を送ることが重要です。人物評価だけでなく、学力試験を含む方式が増えている今、探究活動や部活動などの取り組みと、日々の学習の両面をバランスよく育むことが、進路選択の幅を広げることにつながります。早い段階から「活動+学力」の視点で準備を始めることで、制度の変化にも柔軟に対応できる力が養われます。