【ニュース概要】
令和6年度全国学力・学習状況調査の結果が、7月29日(月)に公表されました。今回は小学生・中学生ともに、国語と算数・数学のみを調査されました。国語では記録、要約、説明、論述、話し合い等の言語活動を工夫することが重要、算数・数学では、日常生活を絡めながら、活用できる知識・技能を習得させることが重要との分析がなされました。

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◆全国学力・学習状況調査とは
「全国学力テストの結果」に関するニュースや、それをもとにした「都道府県の結果ランキング」などを見聞きしたことがあるでしょうか。
この調査は、小学6年生と中学3年生を対象に、毎年4月に実施されているものです。
算数・国語は毎年、理科・英語は3年に1度の頻度で実施されます。これにより、各教科の学力状況を継続的に把握し、教育の質を向上させるための重要なデータとしています。
基礎的な知識や技能の理解度を測る問題と、思考力や表現力を問う問題で構成されています。
◆今年度の問題の傾向と結果
<小学校>
国語では、読解力や表現力を問う問題が中心で、特に「書くこと」については条件に応じて、自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫することができるかどうかを見る問題が出題されていました。多くの生徒が取り組めている記述問題もあるとされている一方で、事実と意見の使い分けや、伝えることを明確にするというところに課題があるという分析でした。
算数では、特に日常での生活をもとにした「問題解決能力」を問う問題、データや図表から読み取って考える問題が多く出題されました。以下は、算数の問題の一部抜粋ですが、
『自転車で、家から郵便ポストまで分速200m、郵便ポストから図書館まで分速200mで走った場合において、家から図書館までの分速は何mになるか』
というように、単純な計算や知識の暗記に留まらない、意味を理解できているか問われる問題も出題されており、算数の知識や数学的な考え方を日常生活で生かせるように指導することが大切とされています。
<中学校>
国語では、話合いでの発言や文章から目的に応じて必要な情報を取り出したり、目的に応じて文章を工夫して書いたりすることができるかを問う問題が複数出題されていました。結果では、目的に応じた内容の記述になっていないと、読解力・表現力への課題や、複数の情報を結び付けて解釈することへの課題が示されていました。
数学では「ストーブの使用時間と灯油の残量」をグラフ化したものや、「車型ロボットの速さと進んだ距離」についてデータを比較して説明する問題など、数学的な思考での問題解決力を問う問題が出題され、前回調査に引き続き、課題があるとされました。
24summary_point.pdf (nier.go.jp):文部科学省の資料より
◆全国学力・学習状況調査からみられるこれから求められる力とは?
出題されている問題から、問題を解いて正しい答えを出すという知識や技能を問うことに終始するのではなく、得た知識を日常生活、社会生活の中で生かしていく思考力・判断力・表現力が意識されているということはひしひしと伝わってきました。
中でも、周囲に自分の考えや解答を他者にわかりやすく伝える「説明力」、情報を分析・評価し自分の意見を形成する「批判的思考力」、問題を発見しそれに対する解決策を考え実行する「問題解決力」などは、これからますます求められてくると考えられます。