1. はじめに:夏期講習の重要性と保護者の役割
「夏を制する者が受験を制す」——一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。まさにこの言葉通り、夏休みの過ごし方は、受験生にとって非常に大きな意味を持ちます。特に中学・高校・大学など、進学を控えたお子さまを持つ保護者の方にとっては、この夏休みをどう過ごさせるかが、志望校合格への鍵を握っているといっても過言ではありません。
夏期講習は、そんな大切な夏休みにおける学習面での中心的な存在です。学校の授業がストップするこの時期にこそ、学力の差は広がりやすくなります。なぜなら、多くの生徒が「時間があるからこそダラダラしてしまう」状態になりがちだからです。一方で、計画的に勉強を積み重ねた生徒は、ライバルに差をつけるチャンスでもあります。
学習塾が提供する夏期講習は、ただの“勉強時間の確保”にとどまりません。学校では触れにくい受験テクニックや、志望校に特化した演習、今の学力に合わせた個別指導など、普段以上に濃密な学習が可能になるのが夏期講習の大きな魅力です。特に苦手科目の克服や、これまでの復習・総まとめには最適な時期といえるでしょう。
では、保護者としてこの夏期講習期間にどんなサポートができるのでしょうか。まず大切なのは「学習環境を整えること」です。夏休み中は生活リズムが乱れがちになり、夜更かしや昼夜逆転に陥ってしまうお子さんも少なくありません。そうなると、せっかくの講習内容が頭に入りにくくなるばかりか、集中力ややる気にも影響してしまいます。日々の起床・就寝時間、食事のリズムなど、基本的な生活を整えることは、お子さんのパフォーマンスを最大限に引き出す大切な土台となります。
また、勉強の成果はすぐに目に見える形では表れにくいものです。だからこそ、お子さんが努力している姿に対して「頑張ってるね」「えらいね」と、肯定的な声がけをすることが大きな支えになります。勉強は孤独な戦いになりがちですが、保護者からのあたたかい言葉は、お子さんにとって大きな励みになります。
加えて、講習のスケジュールや進度を一緒に確認してあげることも有効です。「今日の講習はどんな内容だったの?」「つまずいたところはなかった?」といった何気ない会話が、学習状況の把握につながるだけでなく、お子さん自身も自分の学びを振り返るきっかけになります。口うるさく言う必要はありません。大切なのは「気にかけてくれている」という安心感を与えることです。
もしお子さんが夏期講習の内容に不安や悩みを抱えているようであれば、塾の講師と連携をとるのも保護者としての大切な役割です。最近は保護者との面談や、メール・電話でのフォロー体制を充実させている塾も増えています。保護者と塾がタッグを組んでお子さんをサポートする体制が整えば、本人もより安心して学習に取り組むことができます。
もちろん、お子さんによって学習スタイルや目標はさまざまです。中学受験を控えた小学生、高校受験に向かう中学生、あるいは大学入試を目指す高校生では、講習に求められる内容や心構えも変わってきます。だからこそ、保護者としては「うちの子に今、何が必要なのか?」という視点で講習の選択やサポートを考えることが求められます。
この夏、ただ何となく講習に通わせるのではなく、「どうすればこの夏を有意義に使えるか?」を意識することが、受験成功への第一歩となるでしょう。そしてそのカギを握るのは、お子さん自身の努力はもちろんですが、それを後押しする保護者の存在であることも間違いありません。
2. 夏期講習の選び方と活用法
夏休みの学習を有意義なものにするためには、どの夏期講習に参加するか、そしてその講習をどう活用するかが非常に重要です。保護者の皆さんの中には、「どこの塾にすればいいのか分からない」「講習を受けさせても、ちゃんと身につくのか不安」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。ここでは、夏期講習の選び方と、その効果的な活用方法について、具体的に解説していきます。
■ 夏期講習の選び方:まずは“目的”を明確に
夏期講習を選ぶ際に最も大切なのは、「何のために受講するのか」をはっきりさせることです。お子さんの学年や学力状況によって、必要な講習内容は大きく異なります。
たとえば、小学生であれば「中学受験を見据えた基礎固め」や「算数の文章題に強くなりたい」など、苦手克服や基礎力強化が目的になることが多いです。一方で中学生の場合は、「内申点アップのための定期テスト対策」や「高校受験を見越した応用力アップ」など、より戦略的な講習が求められます。高校生であれば、「大学入試共通テスト対策」や「志望大学に合わせた科目特化型講座」など、より専門的かつ実践的な内容が必要になります。
つまり、単に“夏休みだから塾に行かせよう”ではなく、「うちの子には今、どんな学習が必要なのか?」を軸にして講習を選ぶことがポイントです。
■ カリキュラムの中身と講師の質も要チェック
講習内容が目的に合っているかどうかに加え、カリキュラムの詳細や講師の指導スタイルにも注目してみましょう。講習と一口に言っても、授業中心のスタイル、演習重視型、個別指導型など、塾ごとに特色は様々です。お子さんの性格や学習スタイルによって、向き不向きもあります。
また、実際に教える講師の質も重要です。教え方が分かりやすいかどうかはもちろん、子どもが安心して質問できる雰囲気があるか、モチベーションを高めてくれる存在かどうかも確認したいポイントです。可能であれば、体験授業や保護者面談を活用して、塾の雰囲気を事前に掴んでおくと安心です。
■ 夏期講習を“やりっぱなし”にしない
講習に申し込んだだけで安心してしまうケースもよく見られますが、実はここが落とし穴です。夏期講習は、受けること自体よりも「受けた後にどう活用するか」が学力アップのカギになります。
特に注意したいのは、授業を聞いただけで終わってしまうこと。理解したつもりでも、実際に自分の力で問題を解くとなると、思ったようにできないことが多いのです。ですから、講習で学んだ内容は、家に帰ってから復習する時間をしっかり確保することが大切です。
ここで保護者の出番です。お子さんと一緒に「今日はどんな内容だったの?」「どこが難しかった?」といった話をするだけでも、復習のきっかけになります。また、塾によっては講習後のフォロー教材や課題が用意されている場合もあるので、それを家庭で取り組む習慣を作るのも効果的です。
■ スケジュール管理で学習効率を最大化
夏休みは時間があるぶん、勉強の密度が下がりがちでもあります。講習と講習の合間に「何をやるか」「どう過ごすか」が、実はとても重要です。
ここでも、保護者の方が一緒にスケジュールを立ててあげると、お子さんにとっては大きな助けになります。朝から夜までぎっしり予定を詰める必要はありませんが、「午前中は講習、午後は復習と自主学習、夕方はリフレッシュタイム」など、ある程度のルールを決めておくことで、生活のリズムも整いやすくなります。
特に中高生になると、自分でスケジュールを立てることが求められますが、最初のうちは保護者のサポートがあると、学習の見通しが立てやすくなります。慣れてくれば、自分で工夫して予定を組む力も養われていくでしょう。
このように、夏期講習はただ「行く」だけではなく、目的を明確にし、適切な塾・カリキュラムを選び、講習後の学びにつなげることが大切です。保護者の少しの工夫と声かけで、お子さんの夏が実り多いものになるかもしれません。
3. 科目別学習戦略
お子さんの学習を見ていると、「この科目は得意だけど、こっちは苦手そう…」と感じることはありませんか?それぞれの科目には特有の“つまずきやすいポイント”があり、同じように勉強していても成果の出方に差が出るのは自然なことです。特に夏期講習のように短期間で力を伸ばすには、科目ごとに適した学習戦略を立てることがとても重要です。
ここでは、主要教科である「英語・数学(算数)・国語・理科・社会」について、それぞれの特徴や勉強法のポイントを解説します。保護者の皆さんがそれを知っておくことで、お子さんへの声かけや家庭でのサポートがぐんと効果的になります。
■ 英語:語彙力と“音”への意識が鍵
英語は苦手意識を持つお子さんが多い教科のひとつです。中高生になると文法や長文読解の比重が大きくなり、「単語が分からない」「文章が読めない」とつまずく原因が複合的になります。
まずは語彙力。夏休みはまとまった時間がとれるため、単語力を底上げする絶好のチャンスです。ただ、単語帳をただ暗記するだけでは定着しづらいもの。お子さんのタイプにもよりますが、「声に出す」「書いて覚える」「アプリを活用する」など、自分に合った方法を見つけることが大切です。
また、リスニング対策も軽視できません。共通テストや入試でも“耳”の力が問われる今、日常的に英語の音に触れる習慣があるかどうかは大きな差になります。夏期講習での学習に加えて、家庭では洋楽・英語アニメ・リスニング教材なども活用すると効果的です。
■ 数学(算数):基礎の徹底と応用バランスがカギ
数学や算数は「わからないまま進んでしまうと、どんどん分からなくなる」教科です。だからこそ夏は、これまでの単元をしっかり“さかのぼって”復習できる貴重な期間になります。
小学生の場合は、計算力と図形、文章題など、基礎力の見直しがポイント。計算ミスが多い子は、焦らずゆっくり丁寧に解く習慣づけを。文章題に苦手意識がある場合は、図や表を書かせながら問題の構造を理解させると、ぐっと解けるようになります。
中高生の場合は、単元ごとの「理解の穴」を見つけて、そこを集中して克服するのが効果的です。公式を覚えるだけでなく、「なぜそうなるのか?」を自分の言葉で説明できるようにすることで、応用問題にも対応できる力がつきます。
夏期講習では、個別指導や少人数制の授業で、自分のペースでつまずきポイントを解消できる環境が整っていることも多いので、活用しない手はありません。
■ 国語:読解力は“読書量”と“語彙力”の蓄積で育つ
国語は「感覚でなんとなく解いている」子が多い教科です。しかし、入試や模試で点数を取るためには、論理的な読み方と設問の意図を読み取る力が必要です。
夏期講習では、長文読解の演習を通じて、設問に対する根拠のある答え方や、本文からの“抜き出し力”を鍛えることができます。記述問題の練習をしっかり行ってくれる塾もあり、自分の考えを言葉にする力が養われるのもこの時期ならではです。
また、家庭では読書の習慣が大きな効果をもたらします。好きなジャンルの本を読むだけでも、語彙力や表現力が自然と伸びていきます。「本を読ませなきゃ!」と気負う必要はありません。週に何冊と決めずに、「興味のあるものを少しずつ」がポイントです。
■ 理科・社会:知識を“つなげる”意識が理解のカギ
理科や社会は、一見すると「暗記科目」と捉えられがちですが、実は理解の深さが問われる教科です。特に中学・高校になると、「ただの丸暗記」では点が取れなくなってきます。
理科であれば、実験の原理や計算問題など、「なぜそうなるのか?」を理解しておくことが重要です。夏期講習では実験内容の映像を使った説明や、図解を使った授業で視覚的にも理解を促してくれるところが多く、お子さんのつまずき解消につながりやすいです。
社会では、歴史の流れや地理的な背景を“つなげて”理解することがカギになります。単なる年号の暗記ではなく、「この出来事が後の何に影響を与えたのか」など、関連づけることで知識が定着しやすくなります。講習ではこうした“つながり学習”に重点を置いている塾もあり、非常に効果的です。
各教科の特性を踏まえた学習法を意識することで、夏期講習はお子さんの苦手克服・得意伸長の大きなチャンスになります。保護者の方がこうした教科ごとの特徴を理解しているだけでも、声かけや日々のサポートがぐっと的確になるはずです。
4. 成功事例紹介:夏期講習で成績アップした生徒たち
「うちの子にも効果あるのかな…」
夏期講習を検討している保護者の方の多くが、こんな不安を感じているのではないでしょうか。実際に成果が出た例を知ることができれば、「やってみようかな」と思えるきっかけにもなりますよね。
このセクションでは、実際に夏期講習を受けて成績を伸ばした生徒たちの事例を、小学生・中学生・高校生それぞれのケースに分けてご紹介します。もちろん、すべての子が同じ結果になるわけではありませんが、共通しているのは“自分に合った方法”と“周囲のサポート”を上手に活かしていたことです。
■ 小学6年生・Rさん:「苦手な算数が好きになった!」
Rさんは私立中学受験を目指していた小学6年生の女の子。国語や理科は得意でしたが、算数の文章題がとにかく苦手で、模試でも点数が安定しませんでした。ご家庭でもお母さまが一緒に問題を見ていましたが、本人の中で「どうせ分からない…」という苦手意識が強く、なかなかやる気になれなかったそうです。
そんなRさんが参加したのは、個別の夏期講習。「つまずいた原因をひとつずつ一緒に考える」という個別対応型の指導で、わからなかった問題も図を書いたり、具体例を使って丁寧に解説してもらえたことで、次第に「分かるって楽しい!」という実感が持てるようになったそうです。
講習の終盤には、自分から進んで問題に取り組むようになり、夏以降の模試では算数の偏差値が7ポイントアップ。「受験勉強って、努力が結果になるんだね」と本人が前向きになったことが、何よりの成長だったと保護者の方も振り返っていました。
■ 中学3年生・Kくん:「内申アップで志望校推薦に!」
Kくんは公立高校を目指す中学3年生。中1・中2までは勉強へのモチベーションが低く、テストでも平均点ギリギリの科目が多い状態でした。特に理科と英語に苦手意識が強く、志望校の推薦基準には到底届かないと諦めかけていたそうです。
そんな中で迎えた夏休み、保護者の方の後押しもあり、Kくんは夏期講習にチャレンジ。選んだ塾では、学校ごとの内申対策に特化した講座があり、過去問や定期テストをベースに「出やすい単元・配点が高いポイント」に絞って学習できました。
講習中は苦手科目に時間を多めに配分し、講師からの個別フィードバックを毎週受けることで、自分の課題が明確になったそうです。夏明けの定期テストでは理科・英語ともに平均点を大きく超え、結果的に内申点が2ポイントアップ。見事に志望校の推薦基準をクリアし、年明けには合格を手にしました。
本人のコメントは、「最初は乗り気じゃなかったけど、苦手だった理科がちょっと楽しくなった。夏の頑張りが自信につながったと思う」。ご家庭でも、「今までにない勉強に対する前向きな姿勢が見られて驚いた」とお母さまが語ってくれました。
■ 高校2年生・Mさん:「大学受験へのギアが入った!」
高校2年生のMさんは、文系の国立大学を目指している女子生徒。普段からそれなりに勉強はしていたものの、「なんとなく教科書を読んで終わり」といった学習スタイルで、模試の成績も伸び悩んでいました。
夏期講習では、志望校の入試傾向に特化した講座を選択。特に国語と英語では、過去問分析に基づいた「記述力を鍛える講座」を受講しました。講師の丁寧な添削指導と、毎回の復習プリントが功を奏し、「自分の弱点がはっきり見えるようになった」と実感したそうです。
さらに講習後、毎週の学習計画を立てて、1日の学習時間を自分で記録する習慣もつけました。その結果、秋の模試では英語の偏差値が5ポイント上昇。大学進学という目標に向けて、「もっと本気で取り組まないと」と気持ちを切り替えるきっかけになったようです。
「夏でスイッチが入ったのが大きかった」と話すMさん。ご家庭では、「塾で得た学習リズムを自宅でもキープできたのが、継続的な成果につながった」とお母さまがサポートのコツを教えてくださいました。
■ 成功の背景にある共通点
こうした成功事例を振り返ると、次の3つの共通点が浮かび上がります。
- 本人の課題に合った講習を選んでいる
- 塾と家庭の連携がうまくとれている
- 学習後の“復習・習慣化”ができている
夏期講習だけで成績が劇的に変わることは少ないですが、「きっかけ」や「ペースづくり」によって、その後の勉強の質が大きく変わることは間違いありません。
5. 家庭でできる夏期講習サポート術
夏期講習に通わせると、「あとは塾で何とかしてくれるだろう」と思いがちですが、実は家庭でのちょっとしたサポートが、学習効果をぐんと引き上げる“最後のひと押し”になります。
とはいえ、「毎日横について勉強を見る」なんて現実的ではありませんし、そうする必要もありません。ポイントは、“やりすぎず、ほどよく見守る”。忙しい保護者の方でも無理なく取り入れられる「5つのサポート術」をご紹介します。
① スケジュール管理を一緒にする
夏休みは学校がないぶん、生活リズムが乱れがち。まずは「1日の流れ」をざっくり可視化して、夏期講習と家庭学習のバランスを整えるのが第一歩です。
例えば、壁に予定表を貼っておき、講習の時間や宿題タイム、休憩、自由時間などを一緒に色分けしてみるのもおすすめです。「毎日何時に何をするか」が見えるだけで、お子さんの行動が安定しやすくなります。
中高生の場合は、「週単位のスケジュール表」にシフトして、目標や優先順位を自分で決めさせるとより効果的です。保護者は“チェック役”ではなく“相談役”の立ち位置で、「今週どうする?」「うまく進んでる?」と声をかけるだけでも大きな支えになります。
② 生活リズムの土台づくり
学習の成果を最大化するには、「規則正しい生活」が欠かせません。寝不足や栄養の偏りがあると、集中力や記憶力に影響が出てしまいます。
特に夏は、暑さや夜更かしで生活が乱れやすいため、睡眠・食事・休憩のバランスを意識した“生活サポート”が必要です。たとえば:
- 就寝時間と起床時間をできるだけ一定にする
- 朝はなるべく決まった時間に朝食をとる
- 水分補給をこまめに促す
- 昼寝や軽い運動の時間も取り入れる
…といった工夫が、集中力を維持するうえで非常に効果的です。
「生活を整えること=親がしてあげられる学習サポート」と捉えて、ぜひ家庭での環境づくりに取り組んでみてください。
③ 勉強内容に“口出し”せず、“興味”を持つ
お子さんが勉強している内容について、「それ前も間違えてたよね」「こんな簡単なのに…」とつい口を出したくなること、ありませんか?
でも実は、こうした何気ない一言が、お子さんのやる気をそいでしまうことも…。
おすすめは、「勉強内容に口出しする」のではなく、「勉強していることに興味を持つ」こと。
たとえば:
- 「今日はどんなことを勉強したの?」
- 「その問題、ちょっと見せてくれる?」
- 「お母さんはそれ忘れちゃってるなあ(笑)」
といった声かけは、プレッシャーにならず、親子のコミュニケーションにもつながります。勉強そのものに対して「誰かが関心を持ってくれている」と感じると、お子さんも自然と意欲的になっていきます。
④ うまくいかない日も受け止めてあげる
夏期講習中は、成績がすぐに上がらなかったり、疲れがたまって集中力が切れたりする日もあります。そんなとき、つい「もっと頑張ってよ!」と叱ってしまうと、逆効果になることも。
大切なのは、「うまくいかない日があるのは当たり前」というスタンスで、お子さんの感情をまず受け止めること。
たとえば:
- 「今日はちょっと調子悪かったんだね」
- 「疲れてるみたいだし、少し休もうか」
- 「頑張ってるの、ちゃんと見てるよ」
といった言葉がけは、お子さんの自己肯定感を守るうえでとても効果的です。目に見える結果が出るまでには時間がかかることを、お子さん自身が一番不安に感じています。だからこそ、家庭では“味方”でいてあげることが何よりの支えになります。
⑤ 「できた!」を一緒に喜ぶ
最後に最も大切なのが、「できた!」という小さな成功体験を一緒に喜ぶことです。
どんなに小さなことでも、誰かに認められることで子どもは自信をつけていきます。
たとえば:
- 「昨日よりスラスラ解けてたね!」
- 「講習のプリント、ちゃんと仕上げたんだ!えらい!」
- 「すごいじゃん、その漢字覚えてたね!」
こんな一言で、お子さんの“やる気スイッチ”がまたオンになります。
親の“サポート力”は、特別なスキルではない
夏期講習を通じて成果を出しているお子さんたちは、塾の先生だけでなく、家庭のサポートにも支えられています。でもその“サポート力”とは、特別なスキルでも知識でもありません。
日々の中での「声かけ」「見守り」「共感」といった、誰にでもできるちょっとした行動の積み重ねです。
勉強のことをすべて親が管理する必要はありません。むしろ、必要なときに“そっと背中を押してあげる存在”こそが、夏を乗り越える最大の力になるのです。
6. 夏期講習後に差がつく!秋以降の勉強につなげるポイント
夏期講習が終わると、「ひと段落」と感じてしまいがちですが、実はここからが本当の勝負です。夏に頑張ったことをそのまま“伸び”につなげられるか、それとも“一過性のやる気”で終わってしまうかは、講習後の行動次第。
多くの保護者の方が見落としがちな「講習後のフォロー」が、実は秋以降の成績や志望校合格に大きな差を生みます。
今回は、夏期講習後に意識したい5つのポイントを、家庭でできるサポートとあわせてご紹介します。
① 夏期講習の“復習”こそが最重要
夏期講習で学んだ内容は、量も質も濃いため、全てを一度で身につけるのは難しいもの。重要なのは、「終わったあとにもう一度振り返る」ことです。
例えば、お子さんにこんな質問をしてみてください。
- 「夏期講習で一番印象に残ったことって何だった?」
- 「難しかった単元って、今はどれくらい分かるようになった?」
- 「講習テキスト、もう一回解き直してみようか?」
“思い出す”という行為は、記憶の定着にとても効果的です。塾でも復習の指導はされますが、ご家庭で声をかけることで、その習慣が定着しやすくなります。
講習中に使用したテキストやノートを活用し、「夏で終わり」ではなく「夏からが始まり」となるような復習の仕組みづくりがカギです。
② “燃え尽き症候群”を防ぐ声かけ
夏休みは子どもたちにとって体力的にも精神的にも大きなチャレンジです。夏期講習で集中力を振り絞ったあと、9月に入ったとたん「気が抜けてしまった」「まったく勉強しなくなった」というご相談も少なくありません。
そうならないためには、講習が終わったタイミングで「次の目標」を一緒に設定するのがおすすめです。
- 「次の定期テストでは何点を目指す?」
- 「秋の模試での目標偏差値は?」
- 「志望校の過去問、ちょっと見てみようか」
…といったように、先を見据えた会話ができると、気持ちが途切れにくくなります。
ポイントは、具体的で達成可能な目標を設定すること。高すぎる目標は逆にやる気を失わせてしまうので、「前回より5点アップ」など、ステップを踏んでいくことが成功のカギです。
③ 「学習習慣の定着」にフォーカスする
夏期講習の最大の価値は、「学力向上」だけでなく、「学習習慣が整いやすい時期」という点にもあります。
せっかくついた勉強のリズムを、秋以降にどうキープしていくかがとても大切です。
まずは、講習中に行っていた1日の学習サイクルを、そのまま少し簡略化して継続するのがコツです。
たとえば:
- 平日30分だけでも“講習内容の復習時間”をキープ
- 日曜に“1週間の振り返りと計画立て”を一緒に行う
- 夜のリラックスタイムに“今日のがんばり”を振り返る会話をする
といった、無理のない習慣の積み重ねが、秋以降の成績維持とメンタル面の安定にもつながります。
④ テストや模試で「成功体験」を演出する
秋以降は、模試や定期テストなど、夏の成果を発揮する場面が増えてきます。
この時期に「点数が上がった!」「志望校に近づいてきた!」という“成功体験”があると、お子さんのモチベーションは大きく跳ね上がります。
逆に、夏にがんばったのに成果が出なかった場合、「自分には無理かも…」と諦めモードに入ってしまうことも。
そんなとき、保護者の方が意識したいのは、「結果」だけでなく「プロセス」にも目を向けてあげること。
- 「夏の勉強の成果、ここで出せたね!」
- 「間違えたところも、自分で気づけたのがすごい!」
- 「結果よりも、ここまで努力したことが本当に大事だよ」
…といった“プロセスを認める言葉かけ”は、お子さんの自己肯定感を高め、次への原動力となります。
⑤ 塾との連携も、ここで一度見直す
最後に、秋以降もお子さんが継続的に成長するために欠かせないのが、塾との連携です。
講習後には、講師や担当者と面談や報告面談がある場合もありますので、「夏の成果」「今後の課題」「受験までの道筋」について、一度しっかり確認する機会を持ちましょう。
また、もし塾側のサポートが足りていないと感じたら、遠慮なく質問や相談をしてOKです。
「このままで大丈夫か?」「今の講座で足りているか?」といった不安も、共有することで解決への道が見えることもあります。
保護者が“ただ任せるだけ”でなく、“ともに考えるスタンス”を取ることで、お子さんのやる気にもつながります。
夏のがんばりを「本物の力」に変えるのは、秋からの一歩
夏期講習は、あくまでスタートライン。大切なのは、そこで得た経験や知識を「持ち帰って、どう活かすか」です。
秋以降は、受験までの折り返し地点。焦りや不安も出てくる時期ですが、お子さんの成長を信じ、家庭と塾で力を合わせてサポートしていきましょう。
勉強だけでなく、生活リズム、心のケア、目標設定…すべてが“学力の土台”になります。
保護者の皆さんのちょっとした声かけが、お子さんにとっての「安心」と「やる気の源」になります。