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高校生 模試の活用法|失敗しない勉強計画と家庭での支援

高校生 模試の活用法|失敗しない勉強計画と家庭での支援

1-1. 模試が入試本番とどう違うか|目的と特徴

「模試」と聞くと、「ただの練習テスト」くらいに思われる方も少なくありません。確かに模試は入試本番そのものではありませんが、実際の入試に近い形で行われるため、受験準備において非常に重要な役割を果たします。

まず大きな違いは「目的」です。入試本番は合否を決めるために行われますが、模試はあくまで「現時点での学力を測り、今後の学習方針を立てるための材料」として実施されます。つまり、合格・不合格を決めるものではなく、「自分が今どの位置にいるか」を確認する“診断テスト”に近いものだと考えるとわかりやすいでしょう。

模試を受ける最大のメリットは、「弱点発見」と「実戦慣れ」の2つです。普段の定期テストでは学校で習った範囲しか出題されませんが、模試では広範囲から出題されます。そのため、苦手単元が一目でわかります。また、入試本番と同じ時間配分で受験するため、集中力やペース配分の訓練にもなります。

ただし、模試にも限界があります。例えば、判定が良くても本番までに学力が下がれば合格できませんし、逆に判定が厳しくても努力次第で大きく伸びることもあります。模試の結果は「未来を決めるもの」ではなく、「現状を映す鏡」にすぎない、という点を保護者の方も理解しておくことが大切です。

1-2. 模試の種類と頻度|全国模試・共通テスト型・記述型など

ひとくちに「模試」と言っても、種類はさまざまです。大きく分けると以下のようなタイプがあります。

  • 全国模試:大手予備校や塾が主催し、全国の受験生が参加する大規模な模試。偏差値や順位が全国規模で出るため、志望校合格可能性を把握しやすい。
  • 共通テスト型模試:大学入学共通テストと同じ形式で実施される模試。マーク式問題で、時間配分や問題傾向に慣れるのに最適。
  • 記述型模試:記述式の問題が多く、国公立大二次試験や私大の記述試験対策になる。思考力や表現力を測るのに向いている。
  • 学校や塾内模試:範囲を限定した小規模な模試。実力確認や基礎固めの位置づけ。

では、どれくらいの頻度で模試を受けるべきなのでしょうか?

一般的には、高1・高2のうちは年に数回(2~3回程度)で十分です。この時期は基礎力を固めることが最優先なので、模試を受けすぎて復習時間が取れないのは逆効果になりかねません。

一方、高3になると模試の重要度が一気に増します。特に夏以降は、月に1回程度の模試を受けて、学習の成果を定期的に確認することが必要です。共通テスト型や志望校別模試などをバランスよく受験することで、受験本番に向けた実戦経験を積むことができます。

保護者の立場としては、「模試はたくさん受ければよい」というものではなく、復習と改善につなげられるペースで受けることが重要だと覚えておくと安心です。

1-3. 成績表の見方と判定の読み解き方

模試を受けたあとに届く成績表は、情報が多くて戸惑う保護者の方も多いでしょう。偏差値や判定(A~E判定など)にばかり目がいきがちですが、実はそれ以上に大切なポイントがあります。

まず「偏差値」について。偏差値は単なる点数の良し悪しではなく、「全体の中でどの位置にいるか」を示す指標です。例えば偏差値50はちょうど真ん中、60なら上位約16%、70なら上位2%程度に位置していることを意味します。点数が高くても全体のレベルが高ければ偏差値は下がることもあり、逆に点数が低くても平均点が下がれば偏差値が上がることもあります。

次に「得点分布表」です。これは自分が各科目で全体のどの位置にいるかを示すもので、苦手分野を客観的に知るのに役立ちます。例えば数学で平均点を大きく下回っているなら、その単元を集中的に復習する必要があります。

最後に「志望校判定」。多くの模試ではA判定(合格可能性80%以上)~E判定(20%未満)で表示されますが、これはあくまで「現時点での可能性」を示すものにすぎません。特に高1・高2の時期は判定に一喜一憂する必要はありません。むしろ「判定が厳しい=伸びしろがある」と前向きに捉え、改善ポイントを明確にして学習計画に反映することが大切です。

保護者としては、結果の数字そのものよりも「どこができていて、どこが課題なのか」を一緒に確認し、子どもが自分で次のアクションを考えられるようサポートしてあげると効果的です。

まとめ

模試は入試本番の予行演習であると同時に、「学力診断テスト」という位置づけがあります。その目的を理解し、種類や頻度を意識して受け、結果を正しく読み解くことで、模試は単なるテストから「合格への強力な道しるべ」に変わります。

そして保護者ができる大切な役割は、「結果の数字に振り回されず、模試をどう活かすか」という視点で子どもを支えることです。模試を正しく位置づけられれば、受験生活はより戦略的で前向きなものになるでしょう。

2. 模試前にしておきたい準備

模試を効果的に活かすためには、「受けた後の復習」だけでなく、「受ける前の準備」がとても重要です。準備をおろそかにしてしまうと、模試がただの“受けっぱなしテスト”になり、貴重な時間と受験料を無駄にしてしまいます。ここでは、模試に臨む前にぜひ取り組んでおきたい3つのステップを紹介します。保護者の方にとっても「子どもがどのように準備をしているか」を把握しておくと安心です。

2-1. 教科別の基礎固め|得意/苦手分野の把握

模試対策で一番大切なのは、まず 基礎力の確認 です。入試問題や模試は難問ばかりが出るわけではなく、むしろ基礎問題の出来不出来が合否に大きく関わります。

具体的には、直前に学校で受けた 定期テストの復習 を活用すると効果的です。定期テストは範囲が限られているため、「どの単元が理解できていて、どこが曖昧か」がはっきりします。定期テストでミスした単元は、そのまま模試や入試でも得点源になりにくいため、事前にしっかり補強しておきましょう。

また、子ども自身が「自分は英語が得意」「数学は苦手」などと感覚で思っていても、実際の得点とは食い違っていることがあります。模試前に過去のテストを振り返り、客観的に得意・苦手を仕分ける作業 をしておくことが、効率的な模試準備につながります。

保護者としてできることは、定期テストの答案やノートを一緒に確認し、「ここは理解できているね」「ここは復習が必要そうだね」と声をかけてあげること。難しい内容を教える必要はありません。子どもが自分で弱点を意識できるようにサポートするだけでも十分です。

2-2. 過去問・模試の過去の出題傾向を分析する

模試には「出題傾向」があります。とくに全国模試や共通テスト型模試は、毎年似たような形式やテーマで出題されることが多く、事前に把握しておくと大きな武器になります。

例えば、共通テスト型模試では「英語の長文問題が大部分を占める」「国語は文章量が多い」「数学は思考力を問う問題が増えている」といった特徴があります。過去の問題冊子や模試主催者のHPで公開されている出題傾向をチェックすることで、「どんな問題が出やすいのか」「どんな準備をすればよいのか」が明確になります。

ここで大切なのは、模試を“出たとこ勝負”にしないこと です。過去問を解いてみるだけでも、「時間が足りない」「ケアレスミスが多い」など、自分の弱点が浮かび上がります。その気づきが本番の模試での改善につながります。

保護者の立場では、「過去問をやったの?」と確認する程度で十分です。もし過去問が手元にない場合は、学校や塾に相談すれば入手できるケースが多いので、声をかけてみるとよいでしょう。

2-3. 時間配分・解答順序のシミュレーション

模試で点数を上げるには、知識だけでなく 時間配分の練習 が欠かせません。多くの生徒が「最後まで解ききれなかった」「最初に難問に時間をかけすぎた」といった理由で点数を落としています。

本番で実力を発揮するためには、事前に「時間の使い方」をシミュレーションしておく必要があります。例えば、

  • 英語長文は最初から全部を精読しないで設問から先に読む
  • 数学は最初の計算問題で確実に得点し、難問は後回しにする
  • 国語は漢字や知識問題を先に解いて得点を稼ぐ

といった戦術をあらかじめ決めておくことが有効です。

実際に過去問を使って模試と同じ時間で解く「プレ模試」を家庭でやってみるのも効果的です。ここで一度でもシミュレーションしておくと、本番で焦らずに取り組むことができます。

保護者としては、休日に模試形式で時間を測る環境を作ってあげたり、「今日は時間配分を意識して解けた?」と声をかけてあげたりするだけで十分サポートになります。

まとめ

模試前の準備は、ただ「勉強する」だけではなく、

  1. 基礎固めで得意・苦手を整理する
  2. 過去問や出題傾向を分析する
  3. 時間配分や解答順序をシミュレーションする

この3つをセットで行うことが大切です。

模試は受けて終わりではなく、準備段階からすでに“受験の練習”が始まっています。保護者が「準備のポイント」を理解して声をかけてあげるだけで、子どもの模試への意識は大きく変わります。準備をしっかり整えて模試に臨めば、その後の成績表の活用も何倍も効果的になるでしょう。

3. 模試本番での戦略

模試はただ受けるだけでなく、当日の立ち回り方によって得られる成果が大きく変わります。入試本番の練習という位置づけだからこそ、戦略を持って臨むことが大切です。ここでは、模試本番に向けた実践的な戦い方をお伝えします。

3-1. 当日のコンディションを整える|睡眠・食事・持ち物チェック

模試は数時間にわたって集中力を維持しなければならないため、前日の準備が欠かせません。睡眠時間を削って夜遅くまで勉強してしまうケースも見られますが、実際には睡眠不足の状態で受けても、本来の力を出し切れないことが多いものです。特に記憶力や思考力は睡眠の影響を強く受けるため、最低でも6〜7時間の睡眠を確保するようにしましょう。

食事については、当日の朝は糖分だけでなくタンパク質やビタミンも意識すると良いです。おにぎりやバナナなど消化の良い炭水化物に加え、卵やヨーグルトなどを組み合わせると、頭が働きやすくなります。お菓子やエナジードリンクだけで済ませてしまうと、途中で血糖値が急に下がり、集中力が途切れることもあります。

また、模試は意外と持ち物で差がつきます。時計(試験会場に必ずあるとは限りません)、筆記用具の予備、軽食や水分、上着などを準備しておくと安心です。ちょっとした不安要素を減らすことが、心の余裕につながります。

3-2. 問題への取り組み方|解答順序と優先順位の工夫

模試は制限時間との勝負です。すべての問題をじっくり解こうとするよりも、得点を最大化することを意識した戦略が必要になります。

まず大事なのは「解答順序」。基本的には、自分の得意分野や比較的取り組みやすい問題から手をつけるのがおすすめです。序盤で点数を稼げれば気持ちに余裕が生まれ、その後の難問にも冷静に対応できます。逆に、最初から時間のかかる問題にとらわれると、後半で焦りが出て本来解けるはずの問題を落とす可能性があります。

また「飛ばす勇気」も必要です。10分考えても見通しが立たない問題は、一旦スキップして後回しにする判断を練習しておきましょう。模試は本番と違って「練習の場」なので、こうした戦略を試す絶好の機会です。

3-3. 時間配分を意識する|部分点狙いも戦術のひとつ

模試でよくある失敗は「最後まで解き切れない」というものです。時間配分を意識するためには、事前に「1問あたり何分使うか」「この大問には全体で20分かける」といった目安を立てることが有効です。

また、部分点を狙う姿勢も大切です。特に数学や理科の記述問題では、途中の式や考え方をきちんと書くだけでも点数が入ることがあります。「全部解けなければ意味がない」と思わず、できるところまで書いて得点を積み重ねる練習をしましょう。

この「部分点思考」は、入試本番でも合否を分ける大きなポイントとなります。模試の段階から意識して実践することで、最後の勝負どころで粘れる力が養われます。

3-4. メンタルのコントロール|緊張を味方にする

模試は本番に近い雰囲気があるため、普段の勉強とは違う緊張感があります。特に初めて受ける生徒さんは、その緊張に押されて実力を出し切れないこともあります。

ただし、適度な緊張は集中力を高める効果もあります。大切なのは「緊張を和らげよう」とするより、「この感覚を本番に生かす練習」と捉えることです。試験前に深呼吸をしたり、肩や首を軽くほぐしたりするだけでも落ち着きやすくなります。

さらに、「模試で失敗しても大丈夫」と考えることも重要です。模試はあくまで成長のための過程であり、間違えたり点が伸び悩んだりすることこそが財産です。その経験をどう次に活かすかが最大のポイントになります。

👉 この章では、模試当日の戦略を具体的に解説しました。次章では、模試後にどう復習し、学びを自分のものにしていくかを掘り下げていきます。

4. 模試後の振り返りと活用法

模試は受けて終わりにしてしまうと、ただの「長時間テスト」に過ぎません。真価を発揮するのは、むしろ結果が返ってきてからの振り返りにあります。模試後の分析や復習を丁寧に行うことで、次の学習につながり、入試本番に向けた実力アップが可能になります。ここでは、模試後にぜひ取り組んでほしい活用法を具体的に解説します。

4-1. 間違えた問題の分析|ケアレスミスか実力不足か

まず大切なのは、間違えた問題を丁寧に仕分けることです。
模試の誤答には大きく分けて2種類あります。

  • ケアレスミス:計算ミス、マークのずれ、問題文の読み違いなど
  • 実力不足:知識の抜けや理解の浅さ、応用力の不足など

この2つを同じ「間違い」として片付けてしまうと、効果的な復習ができません。ケアレスミスであれば、解答プロセスを見直す習慣をつけたり、見直し時間を確保したりといった工夫で改善できます。一方、実力不足であれば、関連分野の教科書や参考書に立ち戻って基礎を固め直す必要があります。

保護者の方にできるサポートとしては、「どんな理由で間違えたのか」を一緒に確認してあげることです。子どもが「ただのミスだから大丈夫」と言っていても、実は理解不足が隠れていることもあります。誤答の原因を丁寧に整理することで、復習の質が格段に高まります。

4-2. 成績表の活用法|偏差値と判定をどう受け止めるか

模試の成績表には、偏差値・志望校判定・教科ごとの得点分布など、たくさんの情報が詰まっています。しかし、この数字をそのまま鵜呑みにするのは危険です。

たとえば偏差値は、その模試を受けた母集団によって変わります。全国模試であれば学力の高い層が多いため、偏差値が下がりやすい傾向にあります。逆に地域模試や学校単位の模試では偏差値が高く出ることもあります。判定(A〜E)についても、合格の可能性を単純に表すものではなく、「現時点での立ち位置」を示しているにすぎません。

大切なのは、「判定に一喜一憂しすぎない」ことです。むしろ教科別・単元別の得点分布に注目し、弱点を見つける材料として活用しましょう。例えば英語の長文読解で大きく点を落としているのか、数学の計算はできるが図形や関数でつまずいているのか。そうした分析が、次の学習計画の出発点になります。

4-3. 間違え直しと復習の方法|最短で力に変えるステップ

模試の復習を効果的に進めるためのステップは次の通りです。

  1. 間違えた問題を解き直す:模試直後に、記憶が鮮明なうちに行う。
  2. 関連分野を復習する:その問題だけでなく、同じ単元の基礎に立ち戻る。
  3. 類題を解く:参考書や過去問から似た問題を探し、理解の定着を確認する。

特に重要なのは「解き直し」です。同じ問題を解き直して正答できるか確認することで、理解度が明確になります。また、模試の復習は「短期集中」がポイントです。1週間以上放置すると、解いた時の感覚を忘れてしまい、分析の質が下がってしまいます。

保護者の方ができる支援としては、「模試が終わったらその週末に復習する」といったスケジュールを一緒に決めてあげることです。復習を先延ばしにしない習慣をつけることが、結果的に成績向上につながります。

4-4. 次へのアクションプランを立てる|模試は成長のきっかけ

模試後に最も大切なのは、「次にどうつなげるか」です。模試の復習を通じて弱点が分かったら、それを踏まえて1〜2か月の学習計画に落とし込みます。

たとえば、「英語の文法問題で失点したから、毎日10分だけ文法問題集を解く」「数学の関数分野を苦手にしているから、週末にまとめて復習する」といった具体的な行動に落とし込むことが大切です。

模試は“結果を確認するイベント”ではなく、“次の勉強の指針を得るための場”です。点数や偏差値はそのための目安にすぎません。模試の結果をどう受け止め、どんな行動に変えるか。それが受験成功に直結します。

👉 この章では、模試後の振り返り方と成績表の活用法をお伝えしました。次章では、保護者としてどのように子どもを支えられるか、家庭での関わり方について掘り下げていきます。

5. 保護者ができるサポート

模試はお子さま自身が挑戦し、学びを深めていくものですが、その過程で保護者の支えが大きな力になります。特に中学生や高校生は、学習面だけでなく精神面でも揺れやすい時期。模試の結果に一喜一憂したり、自信をなくしたりすることも少なくありません。ここでは、保護者ができる具体的なサポートについてお伝えします。

5-1. 模試結果に対する声かけ|「評価」ではなく「応援」の姿勢

模試の成績表を受け取ったとき、多くのお子さまはすでに「できた」「できなかった」を自分なりに感じ取っています。そのため、保護者から厳しい言葉をかけられると、必要以上に落ち込んでしまうことがあります。

大切なのは、「結果の数字」ではなく「次にどうつなげるか」に注目して声をかけることです。例えば、

  • 「判定はまだ厳しいけれど、前回より数学が上がっているね」
  • 「英語のリスニングは課題が見えたから、ここから強化できそうだね」

といったように、努力の成果や成長の兆しを具体的に指摘してあげると、前向きに受け止めやすくなります。模試は“できなかったことを明らかにする場”であり、それをどう克服するかが本当の勝負。保護者がその視点を持つだけで、お子さまの気持ちがぐっと軽くなります。

5-2. 学習環境のサポート|時間と空間を整える

模試で浮き彫りになった課題を克服するには、日々の学習習慣が欠かせません。そのために保護者ができるのは、直接勉強を教えることよりも「学びやすい環境を整えること」です。

例えば、

  • 家の中で集中できるスペースを確保する
  • 家事の時間配分を工夫し、学習のリズムを乱さないようにする
  • 勉強時間と休憩時間のバランスを一緒に考える

といった工夫が挙げられます。特に高校生になると「自分の部屋で勉強する」時間が増えますが、保護者が声をかけすぎると逆効果になることもあります。程よい距離感を保ちつつ、サポートできる環境を用意することが大切です。

5-3. 生活リズムを整える|学力の土台は「健康」

模試本番で力を発揮するには、学力だけでなく心身のコンディションが大きく影響します。睡眠不足や食生活の乱れは集中力や記憶力を低下させ、学習効率を下げてしまいます。

保護者としてできることは、特別なことではありません。

  • 夜更かしを避け、十分な睡眠時間を確保するよう働きかける
  • 朝食を抜かず、バランスのとれた食事を用意する
  • 適度な運動や休養を促す

といった基本的な生活習慣を支えることが、実は最大のサポートになります。「健康なくして学力向上なし」ということを意識して、生活面での土台を整えてあげましょう。

5-4. 塾や学校との連携|一人で抱え込まない

模試の結果をどう受け止め、どのように学習につなげるかを考える際に、保護者がすべてを判断しようとすると負担が大きくなります。そうしたときは、学校の先生や塾の講師に相談するのも効果的です。

教育の専門家は、成績表の見方や学習計画の立て方に精通しています。第三者の視点からアドバイスを受けることで、より具体的な次のステップを見つけやすくなります。また、お子さま自身も「先生が言っていることだから」と素直に受け止めやすいこともあります。

保護者がサポートのすべてを担うのではなく、学校・塾と協力しながら伴走する形を意識すると、安心して受験期を乗り越えることができます。

5-5. 気持ちのケア|寄り添う姿勢が力になる

模試の判定が思うようにいかないとき、お子さまは「自分はダメなんじゃないか」と極端に落ち込むことがあります。そんなときに必要なのは、正論をぶつけることではなく、気持ちに寄り添うことです。

「大丈夫、まだ時間はあるよ」
「模試は練習だから、ここから伸びるよ」

といった言葉が、子どもの不安を和らげ、もう一度立ち上がる力を与えます。結果をどう受け止めるかによって、その後の学習への意欲が大きく変わるのです。

👉 模試はお子さま自身の努力の場であると同時に、保護者のサポートによって得られる学びの質が大きく変わります。声かけ・環境づくり・生活の支え・専門家との連携、そして気持ちのケア。この5つを意識することで、模試を「ただの試験」から「成長のきっかけ」に変えることができます。

6. 模試を通じて得られる成長と長期的視点

模試は、入試本番に直結する力を測るだけでなく、子どもたちの成長を促す大切な機会です。短期的には成績や偏差値に目が行きがちですが、模試を繰り返す中で得られるのは「学力」だけではありません。ここでは、模試を通じてお子さまがどのように成長していくのか、そして長期的な視点でどのように受け止めるべきかを整理していきます。

6-1. 学力の伸びを確認する「定点観測」の役割

模試は、同じ尺度で繰り返し自分の学力を測ることができる「定点観測」の場です。定期テストでは学校ごとに出題範囲や難易度が異なるため、全国の中での立ち位置は分かりにくいもの。その点、模試では客観的なデータとして偏差値や順位が出るため、長期的に見たときの学力の伸びが可視化されます。

例えば、1回ごとの判定に一喜一憂するのではなく、「半年間で英語の偏差値が5ポイント伸びた」「数学の苦手分野が安定して得点できるようになった」といった変化を見ていくことが大切です。この視点を持つと、模試は「合否を突きつけるテスト」ではなく、「成長を確認するツール」へと意味づけが変わります。

6-2. 学習習慣と自己管理力の育成

模試は単なるテストではなく、学習習慣を確立するきっかけにもなります。模試を目標にして計画的に勉強する中で、子どもたちは「逆算して準備する力」を身につけます。

  • 2週間前から弱点分野を復習する
  • 模試当日に合わせて生活リズムを整える
  • 結果を分析して、次の学習計画を立てる

こうした一連の流れは、受験だけでなく社会に出てからも役立つ「自己管理力」を育てます。保護者の方にとっても、模試をきっかけに学習習慣が少しずつ定着していく過程を見守れるのは、大きな安心材料となるでしょう。

6-3. 失敗を通じた学びとメンタルの成長

模試では、思うように得点できなかったり、判定が厳しかったりすることも少なくありません。しかし、こうした「失敗体験」こそが子どもたちを成長させます。

  • 本番に近い環境で緊張を経験できる
  • うまくいかなかった原因を振り返る習慣がつく
  • 諦めずに再挑戦する粘り強さが育つ

模試での失敗は、入試本番での成功につながる「予行演習」なのです。保護者としては、その失敗を責めるのではなく、「これを次にどう活かすか」を一緒に考える姿勢が求められます。模試を通して、学力だけでなくメンタル面での成長も積み重なっていきます。

6-4. 長期的な視点で支える|「今」より「未来」を見る

保護者の立場からすると、模試の判定結果はどうしても気になるものです。しかし、模試はあくまで「途中経過」を示すもの。大切なのは、1回の模試の数字ではなく、受験までの道のり全体で見たときの成長です。

例えば、高1・高2の時点でE判定が出ても、そこから地道に努力して逆転合格を果たす生徒は数多くいます。逆に、A判定を取っていても油断して成績を落としてしまうケースもあります。模試の結果をゴールとして捉えるのではなく、「今どこにいて、これからどう進むのか」を見ることが、長期的なサポートにつながります。

6-5. 模試を通じて得られる「家族の一体感」

模試はお子さまだけの取り組みではなく、保護者と一緒に向き合うことで家族の一体感も生まれます。

  • 結果を一緒に分析する
  • 努力の成果を認めて励ます
  • 次の模試までの計画をサポートする

こうした関わりを通じて、「受験は一人で戦うものではない」という安心感をお子さまに伝えることができます。この安心感は、受験期の大きな支えになり、最後まで頑張り抜く力を与えます。

👉 模試は、単なる成績判定の場ではなく、学力の伸び・学習習慣の定着・精神的な成長を確認できる大切な機会です。保護者としては、数字だけにとらわれず、長期的な視点でお子さまを見守ることが何よりのサポートになります。模試を通じて得られる成長を一緒に喜び、未来への力に変えていきましょう。

付録|模試でありがちな失敗例とワンポイントアドバイス

模試の後には「あと少し工夫できていれば…」という声がよく聞かれます。特に模試に不慣れな中高生は、ほんの少しの油断や経験不足で、本来の力を出し切れないことがあります。ここでは、よくある失敗例と、それを防ぐための簡単な「ワンポイントアドバイス」を紹介します。

1. 時間配分を誤る

失敗例:
最初の大問に時間をかけすぎて、後半を解けずに失点。

ワンポイントアドバイス:
模試は「完璧」より「全体に触れる」ことが重要。解けない問題に出会ったら5分で区切りをつけ、次に進む勇気を持たせましょう。

2. 見直しの時間がなくなる

失敗例:
最後まで解いたものの、ケアレスミスを直す時間がゼロ。

ワンポイントアドバイス:
「最後の10分は必ず見直し用」と決めておくこと。日頃から模試形式で時間を測りながら練習すると習慣になります。

3. マークミス・記入ミス

失敗例:
正解していたのに、マークずれや記述欄のミスで失点。

ワンポイントアドバイス:
過去問演習もマークシート形式で解いてみるのがおすすめ。解いたらすぐマークするか、まとめてマークするか、自分のやり方を統一するとミスが減ります。

4. 苦手分野を避けすぎる

失敗例:
得意科目ばかり勉強し、苦手分野が出題されて大きく崩れる。

ワンポイントアドバイス:
模試前は「苦手を完璧に」ではなく「最低限落とさない」レベルを目指すこと。バランスの取れた対策が安定した成績につながります。

5. 体調や緊張で集中できない

失敗例:
前日に遅くまで勉強して寝不足。模試中に集中力が切れる。

ワンポイントアドバイス:
模試前日は「詰め込み」より「早寝・休養」が第一。気持ちを落ち着けるために、普段通りの生活リズムを意識させましょう。

まとめ:失敗を次に生かすことが一番の学び

模試の失敗は、入試本番で同じことを繰り返さないための貴重な練習です。点数や判定だけでなく「どんな失敗をしたか」を振り返ることこそが大切。保護者の方も「今回の模試での学びは何だった?」と声をかけてあげると、お子さん自身が次に生かす意識を持てます。