突然ですが、数学は何のために学ぶのでしょうか?
文部科学省から出されている指針によると、日常生活や社会にあることがらを算数や数学的な見方、考え方でとらえ、問題を解決する力を身につけていくことが示されています。
算数・数学では、よく「答えは一つ」と言われます。誰が計算しても1+1は2になりますし、平面上の三角形の3つの角は足すと180°になります。誰が解いても答えは同じになる。そういうルールに則って問題を解決していくのが算数や数学の特長です。
学年が上がるにつれ、苦手とする人も増えてくる数学ですが、どの段階でつまずいているのかが明確になると対策もしやすい科目です。3つのステップに分け、段階ごとに必要な力と対策を確認していきましょう。
■第1のステップ:計算力
「読み・書き・計算」などと言われますが、小学生のうちに必ず身につけておきたい力です。四則の計算が、整数・小数・分数それぞれの解き方のルールを覚えて速く・正しくできるようになることがすべての土台につながります。身につけるのに、個人差はありますが、このステップは練習あるのみ!です。練習した量に比例すると考え、日々コツコツと積み重ねるのがポイントです。
■第2のステップ:定理や公式を覚えて、再現できるようになる力
一般的には、公理や定理はシンプルだと言われる数学ですが、小中学生にとっては、それでも覚えるべきルールがたくさん!と感じると思います。
図形や関数、データの活用の基本問題などがそれにあたりますが、この段階もまだ暗記科目の領域です。ルールとなる知識や解き方を覚え、再現できるよう繰り返し練習します。
ここまでのステップができると、小学校の算数では8割以上、中学校の数学でも6割程度は得点できると言われています。
■第3のステップ:読解力、情報を読み取る力、道筋を立てて考える力
正しい解き方を再現できれば良かった第2ステップから、さらに一段上がると、自分で与えられた情報から、式を立てて解くことや、必要な情報を探しながら解いていく力が求められます。問題文も長く、図や表が用いられることもありますので、情報を読み取る力や文章を読解する力も求められます。方程式の文章題や図形や関数、データの活用の応用的な問題がそれにあたります。
ここで重要になるのが、論理的思考力です。論理的思考力は論理の矛盾や飛躍がないように一つひとつ要素を組み合わせながら論点を整理して解決していく方法で、社会人に必要不可欠なスキルとも言われています。数学で必要となると同時に数学を通じてその力も養われます。
このステップの対策として、わからなかった問題や間違った問題については解答を見て、説明できるようにすることなど、日ごろから自分で考える習慣を身につけること、自分のことばで説明することで、それらの力は養われます。
最近は入試でも数学の文章がとても長く、記述式で説明する問題も増えています。第3のステップで示したような、読解力や情報を読み取る力、論理的思考力もより求められています。「難しい」と一くくりにしてしまうのではなく、どこまでできて、次に何が必要なのか、一つひとつのステップを習得していきましょう。